連載 医療事故・医事紛争防止とリスクマネージメント・8
医療事故/紛争事例から学ぶ(6)
川村 治子
1
1杏林大学保健学部保健学科成人保健学教室
pp.355-357
発行日 1999年4月1日
Published Date 1999/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541902676
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病院は十数の国家免許職種が集う極めて珍しく,かつ難しい組織である.このうちチーム医療の主要メンバーである7〜8職種は「部門」を構成し,これら部門間の密接な連携は医療の質を左右する重要な要素の一つである.
さて,医療事故の発生には直接的,および間接的に複数の部門がかかわることが多い.「なぜ起きたか」という原因追及は往々にして誰に,あるいはどの部門に問題があったかという結論に至りやすい.問題の所在を指摘された部門の事故防止への決意は悲壮感を帯び,一方,その他の部門はほっと胸をなで下ろす.しかし,一部門単独の原因であるかのように見える事故でも,「どうすれば防げたか」,「事故防止のために何ができるか」と考えると,おのずと各部門の役割が見えてくる.一つの部門のエラーを吸収する,あるいはエラーを発生させにくくする他部門のシステムやルールづくりが,結果として病院全体に大きな事故防止効果をもたらす.そこで今回の事故事例は,栄養,理学療法,検査の三つのコメディカル部門が間接的にかかわっている事例を取り上げ,それぞれの部門の事故防止に果たす役割について考えたい.
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