レポート
堺市における病原性大腸菌O157集団食中毒に対する医療の確保
納谷 敦夫
1
1大阪府環境保健部医療対策課
pp.754-757
発行日 1997年8月1日
Published Date 1997/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541902190
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1996年7月,堺市において発生した病原性大腸菌0157による児童の食中毒は,総有症者数約6,000名という世界でも未曾有の大発生となった(9月末,堺市対策本部は児童患者のデータベースに基づいて児童の発症を5,499人と訂正した).米国で1993年にハンバーガーを原因食品とした発生時の患者数は700人であった.わが国では1990年の浦和市での発症から岡山邑久町の発症まで,それぞれ患者総数は500人を越えていなかった.岡山県邑久町では有症者468名のうち26名(5.6%)が入院し,2名(0.4%)が死亡した.
これらは,学校給食に起因した集団食中毒としては大変な事件であるが,救急医療体制という観点からすれば通常のシステムで,かろうじて対応可能であろう.それでも被害地の病院の医師は,押し掛ける患者の治療と転入院先の確保の両方を同時に行わねばならず,大変だったとのことである.
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