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堺市で発生した病原性大腸菌O157による集団食中毒
金万 和志
1
,
橋爪 孝雄
2
,
木谷 照夫
1
1市立堺病院内科
2市立堺病院小児科
pp.487-489
発行日 1997年5月1日
Published Date 1997/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903061
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はじめに
1996年7月,堺市において,学校給食が原因とみられる集団食中毒が発生した.患者総数は学童を中心に約5,700人にのぼり,世界最大規模のものとなった.多くの患者は激しい下痢と腹痛を訴え,患者の便からは腸管出血性大腸菌(E. coli O 157:H7)が検出された.合併症も多くみられ,溶血性尿毒症症候群(hemolytic uremic syndrome;HUS)を発症した患者が約100名発生し,そのうち3名が死亡した.
E. coli O 157は1982年アメリカで発生したハンバーガーによる集団食中毒の原因菌として検出され,激しい下痢・腹痛・血便を伴うことから,腸管出血性大腸菌と名づけられ注目を浴びた1).日本でも1990年に浦和市の幼稚園で井戸水の汚染が原因で集団発生し,合併症で2名の園児が死亡した2).この菌は飲食物とともに経口的に取り込まれ,菌が定着・増殖するときに,その代謝産物として産生されたベロ毒素の直接作用で,多彩な症状・合併症を呈することが特徴とされている3).
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