主張
なぜ病院に自主性が芽生えないのか
U
pp.629
発行日 1996年7月1日
Published Date 1996/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541901850
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公的介護保険制度の関連法案として医療法の改正が行われようとしている.本年4月の末には医療審議会の基本問題検討委員会から「今後の医療提供体制のあり方について」の意見書が出された.この意見書は1)医療提供体制の現状と今後のあり方,2)医療施設機能の体系化,3)要介護者に対応した医療提供体制,4)医療法人のあり方,5)患者の立場・選択を尊重した医療提供のあり方,6)その他,の6部から成っている.この医療法改正に関して常々感じていることは,なぜ法律によってこれらのように規定されなければならないのか,言い換えれば,医療を提供している立場がいかに自主的に地域医療の展開を目指そうとしていないかである.
医療や福祉はその地域の特性によって影響されることが多々あり,全国一律の政策ではそれぞれの地域のニーズに対応することはなかなか難しいことが多い.もちろん,国家の政策は基本的な事項のみを提示し,あとは地域医療計画の2次医療圏ごとに,任意的記載事項の中に盛り込まれるべき地域の実情に適したあり方が検討され,実行されればよいはずであるが,実態はそれからほど遠い状態である.
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