特集 病院経営と医薬分業をめぐって
医薬品卸売業からみた薬価問題
秋山 孝二
1
1(株)秋山愛生舘
pp.236-239
発行日 1996年3月1日
Published Date 1996/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541901745
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はじめに
昨年12月に私の身内3人が相次いで病院に入院し,私は異なった3つの医療機関の病室を訪問しているうちに,今回の年始年末は過ぎていった.各医療機関における普段と全く変わりない献身的な医師・看護婦等の病院スタッフの方々の姿に,患者の回復に一喜一憂する中,大きな感動と感謝の念でいっぱいである.
この間の医薬品流通改善を総括するには,昨今の中医協論議にその源を求めるのではなく,6年前の流通近代化協議会(以下「流近協」と略)報告,および平成3年中医協建議を基点とする必要がある.大きな改革を成し遂げるには一つのトレンドを読み取ることが重要であり,その場の最適論議が,必ずしもある“時代”という幅の中では最適とは限らないことを私たちは認識するべきであろう.というのは,この数か月の中医協論議が「為にする議論」に終始し,過去の制度・方式の正しい総括,将来へのあるべき方向性に基づいているとは全く思えないからである.むしろ,80年代に逆戻りしたような厚生省の場当り的政策誘導のペースに取り込まれている様子に,私は暗たんたる気持ちで憂うつになっている.
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