特集 病院経営と医薬分業をめぐって
薬価の国際比較と薬の真の有用性評価—評価の確立した安価な薬を使用し技術料に向けるべき
浜 六郎
1,2,3
1阪南中央病院内科
2TIP「正しい治療と薬の情報」
3大阪府保険医協会薬価国際比較検討委員会
pp.240-244
発行日 1996年3月1日
Published Date 1996/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541901746
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はじめに
日本では医薬非分業と出来高払い制,およびそれらによって生ずる薬価差益のために,薬価は医師の処方態度に大きく影響を与えてきている.このため,医薬品の適正使用を進めるために,薬価問題は避けて通ることのできない重要な課題である.
TIP (The Informed Prescriber:正しい治療と薬の情報)は,医薬品の適正使用(rational use of drugs)のために,医薬品メーカーの資金援助を受けず,中立的な立場で医薬品の評価と情報を提供してきている独立情報誌である.医薬品・治療研究会(代表:別府宏圀,東京都立北療育医療センター副院長)は,このTIPの発行母体である.TIPは今年で創刊11年目であるが,創刊当初の10年前から国際医薬品情報誌協会(ISDB:InternationalSociety of Drug Bulletin)に加盟する日本で唯一の独立医薬品情報誌であり,これまで医薬品の評価と情報提供を主要なテーマとしてきた.日本においては,薬価問題は医薬品の適正使用上特に重要な課題であることから,以前より関心をもっていて検討し調査もしていたが,1994年からは大阪府保険医協会の依頼もあり,共同で本格的な研究を開始した(調査は医薬品・治療研究会が担当).
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