特集 病院の国際化
医薬品流通の構造と薬価制度の問題について
岩田 明達
1,2,3
Akisato IWATA
1,2,3
1医療法人社団・松井病院
2社団法人全日本病院協会
3厚生省
pp.220-223
発行日 1991年3月1日
Published Date 1991/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541900874
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はじめに
病院の国際化というテーマの狙いとして,人,物,金,情報が地球規模で行き来し,社会全体が国際化していく中で,病院だけが“鎖国”を行っていては,その存続は危ういという指摘がある.そうだろうか.長年,日本の医療や病院との関わりを持ち,患者の意識や,社会ニーズを直接的に受け止めざるを得ない立場から見ると,国際化をどのような形で具体化しなければならないのか,といった対応を迫られる危機感が残念ながら存在しない.
医療の特性である専門性,緊急性,個別性は,地域ニーズを中心に発生し,更に患者や国民の生活環境の変化に伴い,その意識は高度化,多様化,複雑化していることも,地域医療の枠で包括されるべき性格のものであり,必ずしも国際化のキーワードが優先されたり,病院の国際化の対応の遅れが致命傷になるとは思えない.特別な地域や施設を除いては地域重視の医療が引き続き病院運営の基本路線であることに変わりはない.ただし,社会ニーズや患者ニーズの行政反映力が制度改革に及び,制度や医療構造に国際化と言われるものが導入されることは予測される.
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