対談シリーズ 介護問題をめぐって・5
地域医療と介護問題
鎌田 實
1
,
矢島 嶺
2
1諏訪中央病院
2武石村診療所
pp.154-162
発行日 1996年2月1日
Published Date 1996/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541901726
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地域で介護にかかわる視点
矢島 私は診療所で地域医療を展開している立場ですから,介護の対象はとりあえず成人病やその後遺症を持っている中高年の人たちということになります.したがって,地域で介護する基本的な理念としては,老化に伴う体の変化は予防できない障害としてとらえることが多いということです.
つまり,その障害を完全に治癒させることを最初から断念している.ですから,根本的には対症医療でやろう,あるいは対症的に障害に対処していこうという考えです.そうはいっても人間は直ぐには死ぬことはありませんので,障害を持つ人を地域で,時には医療から,時には福祉の面からサポートしていくということです.広義では「地域福祉」ということになり,私の場合には地域福祉の中の一部を医療が担当しているというとらえ方です.
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