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はじめに
少子・高齢化が進行するわが国では,地域包括ケアを実現することが急務とされ,その一手段として医療・介護連携に期待がかけられている.2010〜2025年の15年で,生産年齢人口(現役世代)が13%減少するのに対し,後期高齢者数は1.5倍となると推計1)されている(図1).
現在,後期高齢者の24%は要介護認定者2)であり,今後,医療・介護を要する高齢者が急増することが予想される.国は医療・介護の専門職,特に介護職を増加させる努力をしているが,今後の後期高齢者数の増加に追い付くのは簡単ではない.将来的に医療・介護を要する高齢者のすべてにサービス提供しようとすれば,医療・介護専門職の一人一人が,今より多くの高齢者ケアを行えるようにサービス提供手法を効率化しなければならず,医療・介護連携には,地域全域でのサービス提供の効率化が期待される.
専門職が効率的に働くためには,医療・介護の連携ルールが必要である.地域内の医療・介護専門職のほとんどがこのルールの作成に主体的に参加したうえで活用するような状況ができれば,地域全域での効率的なサービス提供につながる可能性がある.しかし,このような状況を作るためには,医療・介護の対等な協議を保証する必要がある.これが実現できなければ,医療との社会的な立場の違いを意識し,かつ,小規模な事業所に分散している介護側が,地域全域としてまとまって医療側との協議に参加することはありえない.介護側の多くが関与しない協議で連携ルールを策定しても,地域全域には影響を及ぼしがたい.医療・介護の対等な協議の実現は,わが国の医療・介護連携の大きな課題であり,連携当事者の努力以外に,両者を調整する連携調整組織の育成が必要である.
そこで,これらの課題を克服するため,「二次医療圏での病院と在宅介護の退院調整ルール策定」を国モデル事業として実施し,連携調整組織を育成しつつ,介護の代表である居宅介護支援事業所,地域包括支援センター(以下,包括C)のほぼすべてと多数の病院との対等な協議を実現したので,その手法を含めて報告する.
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