時評
国保病院の地域医療離れ
矢島 嶺
1
Takane YAJIMA
1
1武石村診療所
pp.175
発行日 1991年2月1日
Published Date 1991/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541900866
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国保病院の基本的任務は言うまでもなく,その町村の住民全体の「健康」に責任を持つことであろう.最近,「健康」の意味は長寿化,人権感覚,民主主義の進行,医療技術の発達と相まって非常に多様に深化拡大され解釈されてきている.この広がってきている「健康」を,自分の属している町村の特定多数の人々に可能な限り支援するのが国保病院の任務だと思うが,現在の国保病院を外から見る限り,病院内にこもり,こじんまりと「健康」の一部を扱っているように見える.「なんで病院から出て地域の人々の“健康”を守らなければいかんのですか?」と言わんばかりである.
日赤,厚生連,あるいは高次医療を担当する病院ならばいざ知らず,税金で運営されており,税金を納めている人々の顔が特定できそうな地域に建てられている国保病院が,地域医療の水準を落とし,地域離れを起こしている.
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