特別企画 高齢者のケア・1
高齢者ケアプラン方式—開発の経緯と今後の可能性
池上 直己
1
1慶鷹義塾大学総合政策学部・医学部病院管理学
pp.274-280
発行日 1995年3月1日
Published Date 1995/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541901469
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はじめに
高齢社会の到来に対応するために様々な施策が矢継ぎ早に提示されてきた.1989年のゴールドプラン,1990年の入院医療管理料,1993年の訪問看護ステーション等に引き続き,1997年には「介護保険」の導入も予定されている.このような動きの基底にあるのは,急性医療に照準を置いた医学・看護学モデルではなく,また措置制度による弱者救済という福祉モデルでもない,新たな「長期ケア」モデルの模索であるといえよう.
長期ケア(long-term care)は,「身体的,精神的障害があるために継続的に援助を必要とする人々に対して提供される様々な医療と社会サービスである.サービスは施設,在宅,地域のいずれでも提供することができ,家族や友人によるインフォーマルなサービスも含まれる」というようにアメリカの医学研究所(lnstitute of Medicine)は定義している1).すなわち,長期ケアでは急性医療のように「治癒(キュア)」によって完結せず,サービス提供に継続性が求められている点に特徴がある.
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