MSWの相談窓口から
Aさんの退院をめぐって
前田 景子
1
1北里大学病院総合相談部
pp.191
発行日 1994年2月1日
Published Date 1994/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541901172
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60歳をすぎたAさんはがん末期の患者であり,最期の時を病棟で迎えようとしています.ソーシャルワーカー歴3年目の私に人との関わりを考えるきっかけを与えてくれたAさんのことをふりかえってみたいと思います.Aさんは去年の4月,悪性腫瘍で入院しました.手術のかいもなく病気は進行し,これ以上治療の効果は期待できないという状態でした.Aさんはげっそりと痩せており,持病の糖尿病のためにふらつきはありましたが,なんとか身の回りのことは自分で出来ました.そのため,医師や看護婦は「今でなければ家には帰れないだろう」「何とか自宅に帰せないものか」という動機から退院を検討し,Aさんに自宅に戻ることをすすめました.
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