連載 地域に帰るということ 新米PSWの悪戦苦闘記①
退院後にNさんが描いた絵は・・・
瀬在 友貴恵
1
1陽和病院・PSW
pp.52-55
発行日 2000年9月15日
Published Date 2000/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689900304
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私の担当する慢性期病棟には,何枚かの絵が飾られている。そのうちの2枚はある患者さんが描いたものだ。4年前に退院した人で,病棟に寄贈してくれたのは退院してからのこと。再人院はこれまで一度もなく経過し,その人を知っているスタッフは少なくなりつつあるが,患者さんの多くは知っている。退院は10年という長い入院生活からの飛躍であったが,その人は,最後まで,病院が意図した「サポート体制」には乗らなかったように感じる。
入院中のその人といえば,病棟内のグループ活動にはほとんど顔も出さず,作業療法にも不参加。理由は「つまらないから」だった。しかし,趣味は園芸,音楽鑑賞,そして絵画と多彩で,自分の世界をマイペースに楽しむさまは確固としていた。
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