精神科医療 総合病院の窓から・6
総合病院精神科の患者動態
広田 伊蘇夫
1
Isoo HIROTA
1
1同愛記念病院神経科
pp.788-789
発行日 1991年9月1日
Published Date 1991/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541901008
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量的側面から
これまで,主としてアメリカにおける総合病院精神科のあゆみを簡単に紹介してきた.今回は精神科への診察依頼について,その統計資料を概覧してみよう.総合病院において,精神科が提供し得る役割を検討する上では欠くことはできまい,とみるからである.この場合,まず精神科への診察依頼の頻度が問題となるわけだが,この点に関して一般的傾向とみなし得る資料は案外と少ない.これにはいくつかの理由もあるわけで,例えば病院の規模(大きくなれば,それだけ他の専門分野との連携は希薄化する),精神科病床があるかないか(なければ,精神症状の激しい症例は転院させざるを得ない).更には脳外科,心臓外科などの高度医療部門が設置されているかどうか(これらの部門では一過性の精神症状の発現が比較的多い)などによって,おのずとその頻度が異なってくることとなる.
であるにせよ,比較的多くの報告を検討したLipowskiのまとめからすると,総合病院において,精神科への診察依頼は全入院者の4〜13%,平均9%というのが,いささか古い資料ながら1966年までの実態とみることができそうである.これをわが国でみると,Lipowskiのまとめるような資料はなお乏しく,間接的にその実態を推定せざるを得ないものが多い.そのいくつかを紹介してみよう.
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