精神科医療 総合病院の窓から・12
精神科治療の動態と望むこと
広田 伊蘇夫
1
Isoo HIROTA
1
1同愛記念病院神経科
pp.246-247
発行日 1992年3月1日
Published Date 1992/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541903743
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総論的に
今回は筆者の勤務する総合病院精神科の患者動態を紹介し,いくつかの間題を提起してみよう.本院の全病床定数は409床,精神科は外来部門のみで運営されており,人的構成は常勤医4名,看護婦2名,および非常勤の臨床心理士1名からなっている.黒木宣夫らの報告(1988年)によれば,精神科を併設し,かつアンケートに答えた全国584総合病院のうち,大学病院を除く公的,法人立,企業立病院の62.2%では,2名以下の常勤医体制で精神科が運営されているという.この数値からすれば,本院の医師勤務体制は恵まれたものといえる.
この体制下での外来患者延べ数は,多少の変動はあるにせよ,月平均1,450名前後というのが1991年度の実態である.これをレセプトの実数からみると,1991年12月分は798名,その診療報酬点数は72万4,059点となる.人件費は国家公務員並みとなっており,経理的には薬剤・検査材料費,施設運営費等を組み込むと,収支差はほとんどゼロに近い.俗に言えば,採算の合わない診療分野とみてよい.
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