病院管理の現場から 医事課窓口から見えるもの
在宅医療・ケアの点数化の行方
佐藤 俊一
1
Shunichi SATO
1
1東京白十字病院医事課
pp.253
発行日 1990年3月1日
Published Date 1990/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541900599
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患者さんのために
ある暑い夏の午後のことだった.出張から病院に戻ると,私の帰りを待っている何人かの人がいた.彼らは,ある患者さん(30歳で脳血管障害で寝たきりのBさん)の在宅での経管栄養法の健康保険への適応が可能かどうかということで,私の意見を聞きたかったのである.この患者さんは,訪問診察および訪問看護実施中である.実は,このことについては,すでに院内で一般的なこととして繰り返し説明したことだったので,「何でまた」というのが私の素直な気持ちだった.
最初にBさんの主治医から問い合わせがあった.「在宅での経管栄養法を健康保険で行うためには,疾病が小腸関係の消化器系のものに限定されているのは分かっているが,Bさんを担当している福祉課の人がいうには,解釈の仕方,運用の仕方で,Bさんの場合にも適応可能ではないか」といわれた.「こうしたことは,他の病院では行われているのに,なぜ当院では認められないのか」と問われて困っているという内容だった.
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