辛口リレーエッセー 私の医療論・病院論
今,社会が望んでいる医師は
松浦 啓一
1
Keiichi MATSUURA
1
1佐賀医科大学
pp.252
発行日 1990年3月1日
Published Date 1990/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541900598
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大学病院は学生の教育のために設置されるものであるから,所謂com-rnon diseaseを診療することを禁止されたのでは困る.しかし診療に追われっぱなしでは大学としての使命は達せられない.一つの専門分野を深く掘り下げ英知を集めて考究することも必要である.1970年以降の科学技術の進歩はこの専門分化の方向を驚くべき速度で助長し続けた.不可能と思われていたものを可能とし,神秘のヴェールは少しずつ剥がれていくようで,若い医師は挙って専門医を指向するようになった.
一方,分子生物学や遺伝子工学などの基礎医学分野も飛躍的な進歩をとげつっあり,臨床技術と相俟って21世紀には体外受精や臓器移植などは日常茶飯事になっているかもしれない.
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