連載 「働き方改革」時代の労務管理・12
—メンタルヘルス不調への対応(前編)—メンタルヘルス不調の予防と業務変更希望への対応
越本 幸彦
1
,
山崎 祥光
1
1弁護士法人御堂筋法律事務所
pp.376-379
発行日 2019年5月1日
Published Date 2019/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541210962
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■メンタルヘルス不調とは
近年,労働者の受けるストレスは拡大傾向にあると言われ,実際,精神障害などに係る労災補償は請求件数,認定件数とも増加傾向にある.また,厚生労働省の平成29年労働安全衛生調査によれば,過去1年間にメンタルヘルス不調により連続1カ月以上休業した労働者は0.4%,退職した労働者は0.3%との統計が出され(「医療,福祉」業界でも全体と同割合),単純計算で言えば,毎年,職員250人に1人が1カ月以上休職し,330人に1人が退職することになる.なお,自殺者については全体的に減少傾向にあるものの年間2万人を超え(うち,医療・保健従事者は323人),自殺の原因・動機に勤務問題が含まれる者は約2,000人も含まれている注1.
そもそもストレス自体は,現代社会において,社会生活上不可避のものであり,特に人の生死に関わる場面が多く,精神的にも肉体的にも緊張度の高い職務に従事する医療機関の職員は,他の業界に比して,日常的に強いストレスに晒されているともいえる.
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