特集 どうする,病院食
巻頭言
今村 英仁
1
1公益財団法人慈愛会
pp.251
発行日 2019年4月1日
Published Date 2019/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541210932
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
- サイト内被引用
食事を取れるようになったら退院が求められるような現代の病院において,改めて病院給食の目的を問われたとき,どのように返答するのだろうか.
1994年の健康保険法の改正により「入院時食事療養費」制度が導入された.病院給食は医療の一環として食事療養という名称が付いたが,一方で,療養の給付からは外された.その際の厚生労働省の説明は,「日常生活でも食事は普通に取るのだから,その生活コストに相当する部分は患者の自己負担で行うべき」というものだった.その結果,それまでの「冷たい,早い,まずい」(適温適時は1992年に制度化)という患者の病院食に対する意識は,「食事代を負担するのだからそれ相応のおいしい病院食を提供すべき」との考え方に変わった.病院側もそれに応えて努力を重ね,本誌の2014年5月号特集「病院食再考」では,さまざまな明るい病院食の未来が語られていた.それがわずか数年後に病院給食の危機が叫ばれるようになるとは,誰が予想しただろうか.
Copyright © 2019, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.