特集 ダイバーシティ・マネジメント—多様性に対応する
巻頭言
今村 英仁
1
1公益財団法人慈愛会
pp.619
発行日 2018年8月1日
Published Date 2018/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541210767
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「病院のダイバーシティ・マネジメント(以下,DM)」を特集テーマとして取り上げるに当たり,筆者は当初,「そもそも病院にDMは関係があるのか」,さらに「必要なのか」という疑問を抱いていた.巻頭言を記している今,それは「これからの病院経営にDMは必要不可欠だ」という確信に変わった.
さまざまな人種のスタッフが集まって仕事をする多国籍企業でDMが必要なのは誰でも理解できる.それがなぜ今,日本の病院経営でも必須なのだろうか.日本の病院で働くスタッフはほとんどが日本人であり,ダイバーシティがないように見える.そこが落とし穴なのである.現代の病院は実にさまざまな職種のスタッフが集まる職場になった.たとえ日本人同士であっても,それぞれの職種の文化が大きく異なるために意思疎通がうまくいかないことも多い.それが高ずると,職種間で断裂が生じたり,上下関係が生じたりした結果,スムーズな医療提供ができない事態に陥りかねない.さまざまな職種の集まる病院を,別々の国々の人種が集う多国籍企業と捉えてみてはいかがだろうか.
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