特集 平成の病院医療から次の時代へ
—佐々江論文へのコメント—「医療界以外の先進事例に学ぶことの重要性」の視点から
落合 慈之
1,2
1東京医療保健大学
2NTT東日本関東病院
pp.51-53
発行日 2019年1月1日
Published Date 2019/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541210879
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佐々江論文(p.46〜50)は,総合内科医として現職にある一医師の,医療提供体制とそれを支える電子カルテのありようについての日英の比較論である.佐々江氏は英国で医師免許を取得して8年余をロンドンでGP(general physician)として活躍し,後に帰国して改めて日本の医師免許を取得した経歴の持ち主である.今日,最も病院を変えたテクノロジーといえば,何をおいてもIT(ICT)である.その代表が電子カルテであることは間違いがない.わが国でも地域包括ケアの実現に向けて医療機関の機能分化と連携が強く求められている.政府主導で全てを税金による英国と,民間病院の比重が高く,原則,保険制度を基調とする日本というように,両国の医療提供体制には大きな違いがある.しかし,国民の医療・健康を支えるという視点に立てば,電子カルテのあるべき姿に大きな差はないはずである.佐々江氏による彼我の差についての記述は,全て,実際にそれを経験した者の手によるだけに,指摘にはいちいち迫力がある.
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