連載 地域医療構想と〈くらし〉のゆくえ・2
「ここにいるさ」が許される場所
髙山 義浩
pp.372-373
発行日 2015年5月1日
Published Date 2015/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541209855
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西洋医学が病気の原因を取り除き,患者を治療できるようになったのは,せいぜい20世紀になってからのことです.麻酔や消毒が開発されて(まともな)外科治療ができるようになったのも,ペニシリンを端緒として次々と抗菌薬が開発されて感染症が治療できるようになったのも,X線やエコー,心電図に至るまで各種医療機器で診断ができるようになったのも,このたった数十年の出来事でした.
それまで医師がやっていたことと言えば,解熱,鎮痛,鎮咳,去痰,強心,利尿といった対症療法で,患者が自ら治ろうとするのを少し手助けしていただけでした.こうした19世紀的な病院の存在理由は,病人の保護(あるいは隔離)という福祉(公衆衛生)サービスとしての機能にありました.
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