辛口リレーエッセー 私の医療論・病院論
医学教育
高久 史麿
1
Fumimaro TAKAKU
1
1東京大学医学部第3内科
pp.236
発行日 1989年3月1日
Published Date 1989/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541209514
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岩崎さんのご指名なのでお引き受けしてしまったが,自分自身をふり返ってみると,反省することばかりで,他人に辛口をいうほどの立派なことをしてきていない.気やすく原稿を引き受けるのではなかったと後悔している.私の課題は医学教育ということであるが,教育ほど議論の多い問題はないであろう.関係者がおのおの意見をもっており,その意見の多くは個人の体験にもとづいているからである.
我が国の経済が発展し生活が豊かになると,健康のほうに国民の関心が集まり,マスコミも医学や医療の問題を数多く取り上げるようになった.関係の方々に聞くと,医学や医療の問題を取り上げると,雑誌では良く売れるし,ラジオやテレビでは視聴率が高くなるそうである.目的が,良く売れる,良く見てもらえるであるから,必然的にその内容が興味本位になってしまう.エイズ騒動などが良い例である.また,医療の問題点や医療上の過誤などが大きく取り上げられる.その多くは医師の責任となり,そのような医師を養成した医学部・医科大学の教育が悪いという結論に到達し,それで皆が納得するということになっている.
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