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特集 今日の癌免疫療法
免疫学的モニター—最近の話題—SCMテスト
Immunological monitor; SCM test
高久 史麿
1
Fumimaro TAKAKU
1
1自治医科大学内科
pp.1373-1378
発行日 1978年10月20日
Published Date 1978/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407207032
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はじめに
細胞質の物理化学的状態を細胞構築structuredness of cytoplasmic matrix(SCM)と呼び,このSCMは蛋白などの高分子と水,イオン,ATP,cyclic AMPなどの低分子物質との相互作用によつて規制されると考えられている1).CercekらはこのSCMを螢光の偏光度によつて測定することが可能であること,正常ならびに癌患者のリンパ球が各々PHAあるいは癌塩基性蛋白cancer basic protein(CaBP)に反応してSCMすなわち螢光の偏光度の低下を示し,しかも正常リンパ球と癌患者のリンパ球とはPHA,ならびに癌抗原に対する反応が全く正反対であることから,その反応の比をとることによつて癌患者と正常者とを非常に高い正確度でもつて区別することが可能であることを明らかにし,このリンパ球の螢光偏光を測定する検査法をSCM testと称した2).われわれもCercekらの仕事に興味を持ち,彼らの結果を確認すると共に,胃癌特に早期胃癌の患者のリンパ球も同様にSCM testが陽性に出ることを明らかにして報告してきた3).
本文ではSCM testの原理および測定方法を簡単に説明するとともに,この方法を用いて現在までにわれわれれが得た結果およびCercekらの検索の結果をのべる.引き続いてSCM testに関する最近の動向を紹介し,最後にSCM testの臨床的な癌診断への有用性についての著者の考えを述べてみたい.
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