今月の主題 造血器腫瘍の新しい検査
巻頭言
造血器腫瘍—最近の話題
高久 史麿
1
Fumimaro TAKAKU
1
1東京大学医学部第三内科学教室
pp.367-368
発行日 1989年4月15日
Published Date 1989/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542913946
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造血器腫瘍に関する最近の話題として病因,診断,治療に関連したさまざまなものがあるが,本誌の性質から考えて病因とそれに関係する診断に関する新しい事を思いつくままに述べたい.
造血器腫瘍と癌遺伝子との関連については他のヒトの腫瘍の場合と同じように不明な点が多いが,ヒトの白血病や前白血病状態であるmyelodysplasticsyndrome (MDS)の患者の白血病細胞や骨髄細胞でras oncogeneのone pointmutationの起こっていることが認められている.特に最近,ras oncogeneの中でmutationの頻度が高いヌクレオチドを含んだoligomerをつくり,また白血病細胞や骨髄細胞のDNAの一定の部分をpolymerase chain reaction (PCR)で増やして上述のoligomerとSouthern hybridizationを行う方法が開発されてから,白血病やMDSの患者でras oncogeneのmutationがみつかる頻度が以前に比べて著しく高くなっている.
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