臨時増刊特集 これだけは知っておきたい診断のポイント
IX.血液疾患
慢性骨髄性白血病のリンパ性急性転化 VS 骨髄性急性転化
高久 史麿
1
Fumimaro TAKAKU
1
1自治医科大学・内科
pp.2054-2055
発行日 1980年11月20日
Published Date 1980/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216874
- 有料閲覧
- 文献概要
慢性骨髄性白血病のリンパ性・骨髄性急性転化とその血液学的意義
慢性骨髄性白血病(CML)が顆粒球系細胞の腫瘍性増殖であることは周知である.したがって,最近までCMLの急性転化に際して出現してくる芽球は,同じ顆粒球系細胞の未分化型に属する骨髄芽球であると信じられていた.一方,CML急性転化時の芽球がリンパ芽球に似た形態を示す場合のあることは以前から指摘されていた.さらに最近開発された芽球の生化学的性質あるいは表面形質に関する新しい概念の結果からも,リンパ芽球が出現するCML急性転化例が実際に存在することが明らかとなってきた1).しかもその%が従来考えられたよりも多く,全症例の30%に達するのではないかと推定されている.
そのほか,CMLの急性転化に際して稀ではあるが,巨核球,単球,あるいは赤血球系細胞の性質を示す芽球が出現する場合のあることが報告されている2).リンパ芽球性急性転化の場合と同様に,今後,皆の注意がそちらのほうに向けられれば,このような特殊な型の急性転化の症例が,さらに増加するであろうと考えられる.しかし,現在のところ,頻度の点からいって臨床的に重要なのはリンパ性と骨髄性の両者の急性転化例の鑑別である.
Copyright © 1980, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.