今月の主題 今日の血液形態学
白血病細胞の形態学
白血病細胞とターミナルトランスフェラーゼ
坂本 忍
1
,
飛田 系太
1
,
高久 史麿
1
Shinobu SAKAMOTO
1
,
Keita HIDA
1
,
Fumimaro TAKAKU
1
1自治医科大学・内科
pp.1193-1197
発行日 1980年8月10日
Published Date 1980/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216626
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はじめに
Terminal deoxynucleotidyl transferase(TdT)は,単鎖DNAの末端にdeoxyribonucleoside monophosphateの重合反応を触媒する特異な性質を持った酵素である.正常には胸腺皮質細胞の90%の細胞と骨髄細胞中の少数のリンパ球様細胞(1%以下)に存在し,その機能は十分解明されていないが,胸腺細胞の分化に関与していると考えられている.
TdTが発見されてから10年余,本酵素は臨床的にはまったく注目されていなかった.しかし,急性リンパ性白血病(ALL)の芽球に高いTdT活性が検出されたことから,この数年の間にTdTは白血病や悪性リンパ腫の診断や,これらの治療に際し治療薬剤の選択の指標として重要な酵素であることが認識され,さらに造血幹細胞の分化と白血病化の関係を解明する一つの手がかりとして注目されている.
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