定点観測 石川県・鶴来町から
病院保健婦の仕事って何だろう—小さな病院での13年
中田 なみ子
1
Namiko NAKATA
1
1公立鶴来総合病院
pp.851
発行日 1987年10月1日
Published Date 1987/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541209157
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「病院の保健婦さんてどんな仕事をなさるんですか?」何回となく人からこう質問されてきた.保健所でも町村でも働いた経験のないまま病院保健婦になって10年.今だに「これが病院保健婦の仕事です!」と答えられないでいるが,今まで取り組んできた仕事,現在の仕事,そして自分なりの展望をあわせれば,一つの病院保健婦のあり方,スタイルがみえてくるのではないかと思う.
私の勤務する病院は,周辺の3町5村で設立している医療施設組合立の公立病院で,内科,外科を中心とした150床ほどの一応総合病院で,今秋からやっとCTスキャンが入ることになった.よく言えば小まわりがきき,悪く言えば,二次医療,三次医療をやっていくには力不足が目立つ.交通の便がよくなって,車で30分の金沢市内の県立病院,大学病院へ患者さんが流れていく傾向も強い.そんな中で,なぜ不採算部門である保健婦を採用したか,当時(昭和50年)の事務長の話によれば,「地元に病院がありながら地元の病院を利用しない住民に,この病院は我々の病院で,我々の健康を守ってくれる所だという意識づけをしたかった.何から手をつけていけばいいかわからなかったが,地域医療をすすめるには保健婦が必要だという人があって,その人のすすめで採用することにした」ということであった.
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