特集 病院における減量経営の意味と対策
減量による経営改善の経験—済生会中央病院における昭和49年当時の危機打開策
桜井 健二郎
1
Kenjiro SAKURAI
1
1東京都済生会
pp.950-951
発行日 1983年11月1日
Published Date 1983/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541208158
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昭和46〜48年当時の経営危機■
朝日新聞49年7月2日付社説欄に次のように報ぜられた.「公的病院の経営が最近,急速に悪化してきた.いまの状態がつづけば,行き詰まるところが出てくることは避けられそうにもない.病院の経営主体の数は多く,その規模,性格,財政状態はまちまちである.そのなかで,公的病院の経営難が目立つようになってきた主因は,人件費の増大にある.(中略)とりわけ深刻なのは入院部門の比重が大きく,高度の医療サービスをしながら独立採算性をとっているところだ.日赤,済生会の場合,運営費はもちろん施設費も全部,独立採算である.差額ベッドをふやして収入をあげようとしているが赤字はふえる一方.なかには土地を半分近く処分して急場をしのいでいるところもある.(中略)これらの大病院は,高度な組織医療をおこなっている.これにともない,たとえば外科でも脳神経外科,胸部外科,内臓外科といったように専門分化が激しくなった.それぞれの分野で一流の医師を集め,看護婦らを確保しようとすると,普通の病院よりはずっとコストが高くつくのである.そのうえ,教育病院に指定されていると医師の教育訓練費の大半が病院の負担になる.……」
それより早く当院にも経済危機は訪れ,昭和46,47,48年と赤字収支を繰り返し,その累積額は医業収益の2.5か月分に匹敵し,更に,昭和49単年度においても1.5か月分の医業収益に相当する赤字が予測された.
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