連載 アーキテクチャー×マネジメント・73
東京都済生会中央病院
中山 純一
1
1鹿島建設株式会社 建築設計本部
pp.8-13
発行日 2021年1月1日
Published Date 2021/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541211333
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■東京都済生会中央病院の沿革
済生会は,1911(明治44)年に,「生活苦で医療を受けることができずに困っている人たちを施薬救療によって救おう」との明治天皇の済生勅語に基づいて創設された恩賜財団である.「済生」の意味は中国の古典に由来し,「済」は「すくう」で,「生」は「いのち」「国民の生命と繁栄」を指しており,「生活困窮者を済(すく)う」「医療で地域の生(いのち)を守る」「医療と福祉,会を挙げて切れ目のないサービスを提供する」といった「済生の精神」に基づいた思いやりのある保健・医療・福祉サービスの提供を通じて社会に貢献している.2019年3月31日現在は,全国に99の病院・診療所と,292の福祉施設等を運営する,日本最大の社会福祉法人となっている1).
東京都済生会中央病院(以下,同病院)は,その中で2番目に古く,1915(大正4)年に済生会本部直営の「済生会芝病院」として開院した(表1)2).1967年に完成した旧主棟など,老朽化,狭隘化した施設の建て替えが必要となり,2005年に7階建ての新棟(現北棟),2008年には4階建ての新外来棟(現外来棟)がオープンした.2017年にオープンした主棟(図1)は,開設100周年記念事業として位置づけられ,465床の病棟や中央診療部を含み,北棟,外来棟と続いた一連の建て替えの最終ステージを迎えることとなった.
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