定点観測
—西表島から—医師不足と予算不足
松本 強
1
Tsuyoshi MATSUMOTO
1
1沖縄県西表西部診療所
pp.526
発行日 1983年6月1日
Published Date 1983/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541208048
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離島県である沖縄には39の有人島があるが,医療施設・医師数など全国平均の約60%しかない現状では,離島の医療は更に困難を極めている.当県では採算の取りにくい救急医療,へき地・離島医療部門を県立の病院や診療所が担当しており,県は膨大な赤字を抱えている.現在19か所の県立診療所が開設されているが,日本人医師5名(うち県出身者3名),外国人医師(台湾・韓国)6名,残り8名は「医介輔」と称する人々である.それら診療所に割り当てられた年間の医療機器予算がわずかに550万円(!)……お寒い限りである.
私がイリオモテヤマネコでおなじみの西表島の診療所に赴任して1年が過ぎようとしている.本島の那覇市よりジェット機で50分,石垣島着,快速船に乗り換えて小1時間,西表島である。石垣島の沖に散在する大小七つの島々よりなるのが竹富町(人口約3,300人)で,西表島はその中でも最大の島である.県内でも沖縄本島に次ぐ面積を有するこの島の人口は約1,500人,90%は山岳地帯であり,島民は海外線に沿って点在する部落で生活している.ご多分にもれず老人・子どもが多く,それでも最近はUターン組,また他県より移り住んだ若い人が目につく.
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