定点観測
—利尻島から—信頼を得る活動に向けて
北守 茂
1
Shigeru KITAMORI
1
1利尻町国保病院
pp.527
発行日 1983年6月1日
Published Date 1983/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541208049
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利尻島は,日本の北端に浮かぶ周囲約50km,人口約1万2千人の離島である.行政的には,利尻町,東利尻町の両町で面積,人口をほぼ二分した格好となっている.利尻礼文サロベツ国立公園の一部に指定され,夏の間は観光のために島を訪れる人が多く,稚内との間の定期航路も日に3便を数える.しかし,冬の厳しい気象条件は1日1回の定期便をも数日の間連続して欠航させてしまうことも稀ではない.産業としてはウニ,コンブ漁を主体とした純漁業で,漁期を過ぎた10月ころからは利尻町だけからも300人以上の人々が出稼ぎのために島を離れてゆく.
現在,島内には3か所の医療機関(2病院,1診療所)があり,計4名の医師が島民の日常診療に当たっている.他に大学病院からの出張医師が月に1度3日間,産婦人科の外来診療を担当されている.私は自治医科大学を卒業した後,北海道の地域医療対策の一環として,昨年の2月から当地へ内科医として赴任している.当初,隣町にある道立病院の院長先生のところへご挨拶に伺った際に,「内科,外科ということではいけない.病院へ来た患者さんをいかに責任をもって診てあげるかということが大切だ.」と言われたことが印象深かった.
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