特集 病院職員の需給関係
病院医師の不足の現状
青柳 精一
1
1科学朝日編集部
pp.35-42
発行日 1968年9月1日
Published Date 1968/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541203429
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「寒い朝である。寒波の襲来とかで今朝の冷たさは相当なものである。私はさき程から母校の婦人科の教室の2階の廊下で教授の登学を待っている」
「…白衣を着た医局員が廊下を颯爽と往来するが,私などに一瞥を投げる人もいない。この人たちと私との間には20年の距りがある。想えば教室の医局時代は華であり,医者の天国でもあった。院長とは--あえて3等に限らず時に2等級ですらも--卑屈にも似たわびしさで遙かなる後輩を,皇太子様でも養子に迎えるほどのインギンさで貰いに来なければならないものとは考えてもみなかった。
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