今月の本棚
—イヴァン・イリッチ 著 金子嗣郎 訳—「脱病院化社会—医療の限界」
藤岡 萬雄
1
1博仁会共済病院
pp.688
発行日 1979年8月1日
Published Date 1979/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206942
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手強いが貴重な一書
ネメシスと現代医療
本書の原題は"Limits to Medi-cine"で,副題は"Medical Nemesis;The Expropriation of Health"である.すなわち「医療の限界:医療における復讐(ネメシス)—健康の収奪」である.
かつてプロメティウスは根源的な貪欲に駆りたてられて,人間の限界を超え,限りない傲慢さによって天国から火を盗んだ.そのために彼は神々の手により,鉄鎖によってコーカサス山脈の岩に縛りつけられ,一羽の禿鷹によって,永久に内臓を啄ばまれるという残酷な復讐(ネメシス)を受けるのである.
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