病院の窓
医療費高騰と平均在院日数
三宅 史郎
1,2
1国立甲府病院
2日本大学
pp.885
発行日 1978年11月1日
Published Date 1978/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206687
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昭和52年度の国民医療費が十兆円を超すと推計されている.過去20年間の対前年増加率は平均16.7%であり,昭和49年度の対前年増加率は36.2%で,昭和50年度のそれは20.4%,昭和51年度も18.4%と増加を続けてきた.石原信吾氏の予測(本誌36巻9号23頁)によれば増加率を15%にしても,5年ごとに2倍となり,昭和60年には24兆円と予測される.
医療費の高騰は何もわが国に限ったことではなく,アメリカでも1960年から1975年の間に4.4倍に増え,フランス2.8倍,イギリスは最近の10年間で3.1倍の増加が認められている.また同期間の対前年平均増加率もアメリカで10%,フランスで13%,イギリスで1970年以降で13%であるという.西ドイツ,ソ連,ポーランドでもほぼ同時期にそれぞれ3.7倍,2.2倍,2.6倍に増加しているという.このような医療費の増嵩は各国の制度の問題や,人口構造,疾病構造によるところもあるであろうが,医学の進歩や医療技術の革新によることは否めない.
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