院外活動日誌
リハ医療に欠かせない実地訪問
大喜多 潤
1
1兵庫県リハビリテーションセンター能力開発課
pp.672
発行日 1978年8月1日
Published Date 1978/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206622
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リハビリテーション医療は「社会復帰」という言葉が示すように,ケース(患者)が復帰するフィールドとのかかわりなしに考えることはできない.特に障害が重度のケースほど,社会側の場の受け入れ状態によって治療方針やゴールが大きく左右される.我々OTにとってこのことは重要な意味がある.というのは,リハ医療の初期から終了までケースにサービスを提供する上で,その最終仕上げをする時点に関連が多くあるからである.私がOTとして,院内にとどまらずサービスを広げようとしはじめたのも,医療サイドのリハビリテーションでは限界があり,どうしても社会側に働きかけざるをえなかったことから出発している.患者宅の家屋改造・身障者用自動車免許・職場訪問・院外実習(前職業訓練)など,当初はOT一人で走り回った記憶がある.
家屋改造(車椅子使用者や重度障害者のために,何らかの形で住居等に手を加え,生活を確保する)の活動を例に病院と一般社会の間を見てみるといろいろなことに気がつく.長期間入院のため家庭と患者の間に隔たりができてしまっているケースの受け入れ準備体制を整えるのに,この活動が積極的な役割を演ずることがまず挙げられよう.MSW,看護婦,OT, PTなどのスタッフによる患者を含めた実地訪問は,実に多くの具体性のある示唆を我々に与えてくれることがそれに次ぐ.
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