今月の本棚
—石川 信義 著—「開かれている病棟」
仙波 恒雄
1
1同和会千葉病院
pp.671
発行日 1978年8月1日
Published Date 1978/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206621
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患者に心を寄せた実践の記録
鍵と格子に象徴されるように,現在の多くの精神病院は,書名とは逆に開かれていない.先日,私は,病院実習にこられた司法修習生に,精神病院の開放化,精神病院での治療,処遇について講義をしたところ,"先生の話は,刑務所の受刑者の処遇論とそっくりだ"と指摘された.あまりにも似ているのでびっくりしたという.これを聞いて私の方が深く考えこんでしまった.
現今の精神病院は,過去100年にわたる精神障害者の処遇について,その間には解決困難な事態が多くあったことも否めないが,それにしても患者を治療するという立場からは.多くのあやまちをおかしていたことを認めざるをえない.その一つの解決として,治療に付随して起る処遇問題について,今こそ真剣に取り組まなければならないと痛感する.
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