特集 検証「SARS」
想像力欠く日本のSARS対策
岩﨑 賢一
1
1朝日新聞社会部兼企画報道部
pp.857-860
発行日 2003年11月1日
Published Date 2003/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100967
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
重症急性呼吸器症候群(SARS)は,日本の感染症対策に何をもたらしたか――.2003年4月から6月にかけて起きた出来事に対する取材をもとに,ここでは検疫,疫学調査,情報の3点について振り返ってみたい.
検 疫
「中国から入国,検疫強化 空港に検温コーナー」.5月1日の朝日新聞夕刊1面の見出しだ.SARSが香港や広東省だけでなく,北京で急速に広まったことを受け,厚生労働省が1日,中国全土から日本に入国する人すべてに対し,質問票の記入と到着した空港での検温を求めることを決め,即日実施した,という内容の記事だ.同日には,政府の関係閣僚会議も開かれ,検温だけでなく,帰国者に10日間,他人との接触を控えることを求めることも了承された.各新聞社,テレビ局も同様の内容を報じている.
Copyright © 2003, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.