院内管理のレベル・アップ 薬剤
安全情報の院内伝達・4
中小病院での現状(1)
保田 静江
1
1淀川キリスト教病院薬剤部
pp.660-661
発行日 1978年8月1日
Published Date 1978/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206615
- 有料閲覧
- 文献概要
患者の生命をあずかり,疾病を治療または軽減するための一つの手段として用いる薬物を取扱う者として,その安全性に関する正確な情報を収集し,伝達することは,私たち薬剤師に課せられた任務の一つである.病院における医薬品の情報収集,情報伝達などの歴史および活動については,諸先輩の著書を参考にしていただくとし,私たち中小病院における現状を述べることとする.というのは,医学,薬学の急激な進歩に伴い,それぞれ専門分化されて行くに従い,より深く専門的知識を要求され,病院薬局業務内容も,調剤,製剤などが主であったのが,医薬品の安全性管理の面から,評価を加えた正確な情報,品質試験なども厳しく要求され,日常業務の片手間では間に合わなくなってきた.日本薬学会では,昭和46年(1971年)に,「病院におけるDI活動(ドラッグインフォメーション活動)業務基準」を設定され,大学病院,その他大病院には薬品情報室ができ,またDI専任者が病院組織上に認められ,前進の一路を歩みつつあるが,病院組織ですら,画一さを欠く中小病院において,DI業務を組織化することは至難の業であると考えるためである.
医療がめざましく進歩し,それに加えて医薬品の安全性に関する情報が,治療上欠くことのできない業務だということを,医療従事者すべてが認識し,治療に直接関係のない職員でも理解を深め,組織,人,設備などの面での協力がなければ活動の充実は望めない.
Copyright © 1978, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.