病院の窓
都立病院のあり方
稲田 龍一
1,2
1前都立墨東病院
2現代々木病院
pp.17
発行日 1977年11月1日
Published Date 1977/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206368
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昭和51年度都立17病産院の赤字は250億円に達し,一方都立病院の都総医療需要に占める割合は6%である.歴史的に市立伝染病院として旧市街周辺部に設置された都立病院は現在は都の中心部近くに偏在し,人口の多い都周辺部にはほとんど皆無で,統廃合新設により都立病院で新たに全都をカバーすることは種々の困難を伴い不可能であろう.
そうなると総医療需要に占める6%の内容をいかに選択して全都をカバーし,都民の医療要求に答え,今後も増加し続けるであろう赤字への納得を得る必要がある.そのためには老人,心身障者,難病等弱者に対する福祉医療,救急医療,高度特殊専門医療等他の経営体では負担しえない,しかも必要欠くことのできない不採算医療を都立病院が,主として受け持つべきであり,これは革新都政の目指している方向で,今後多大の困難が予想されるが,この方向は守らねばならない.これらの医療は高度な総合病院の基盤の上でのみ行い得るものであるから,この基盤を軽視しないよう努力すべきである.
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