ルポルタージュ
都立荏原病院
S記者
pp.41-45
発行日 1951年11月15日
Published Date 1951/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906963
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
武藏野臺地が,ずつと南にのびて,東京の西南に近づくころには,起伏の多い丘陵に,その姿をかえる。五反田から出た私鐡が,丘陵をぬつて,ものの十分もはしると洗足池に着く。そこここに,こんもりと茂つた木立は,都心のビルディングの灰色に乾ききつた眼に,つややかなうるおいをあたえて,空氣までもが澄んでいるように感じる。
驛のすぐわきを,洗足池から流れ出た小川が,ちよろちよろと流れる。右手は,ゆるいスロープの臺地で,ささやかな,住宅が,立ちならんでいる。このあたりが,雪ケ谷である。小川が,流れ下つて,とうもろこし畑の中に,新築中の小住宅がちらほらするころ,突然,高い煙突とコンクリートの四階建が視野をさえぎる。都立荏原病院である。
Copyright © 1951, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.