病院の窓
入院医療と健康保険の谷間—入院付添料問題
尾村 偉久
1
1国立小児病院
pp.17
発行日 1977年5月1日
Published Date 1977/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206218
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皆保険医療制度のなかで,入院付添料問題は,患者(家庭)にとっても,病院管理の面からみても,現在重大な谷間となっている.重症長期の入院患者の家庭にとって,付添料は,個室差額をはるかに上回る経済的苦悩を与えている.一方病院側にとっても,近代病院管理学のうえからは基礎を揺るがす盲点となっていて,しかも現在の保険診療報酬体系のなかでは,必要な医療を遂行するためには避けられない,止むをえざる必要悪となっている.
入院看護については,医療法施行規則19条により,入院患者4人ごとに1人の看護婦および准看護婦を置かなければならないように規定され,健保診療報酬の方で,そのうちの20%を無資格に代えられるようになっているほか,入院患者2.5人に1人の看護者を置いた場合の基準看護特2類を最高として,以下数段階の基準看護類別入院料を定めている.しかし,基準看護の入院報酬を受ける場合には保険による付添看護は認められない.このように基準看護料は入院患者と病院看護婦の数の比率のみによって病院ごとに一本化して定められていて,患者の軽重—看護の量,質—とは無関係に定められているところに大きな矛盾があるのである.
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