特集 検証 平成12年診療報酬改定
入院基本料の分析
梅津 勝男
1
1日比谷病院事務
pp.761-766
発行日 2000年9月1日
Published Date 2000/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541903082
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金融ビックバンになぞらえて「医療ビックバン」と呼ばれた医療制度・医療保険制度の抜本改革が,ほとんど頓挫している状態である.医療ビックバンとは,①医療供給体制の整備,②診療報酬体系の改革,③薬価基準制度の改革,④高齢者医療制度の創設,⑤良質で効率的な医療の提供,⑥介護保険の制度化と医療保険の対応,⑦情報化の推進と保険者機能の強化の7項目を掲げて検討が行われてきた.しかし,総選挙や景気の回復遅れなどの政治的配慮もあって,「介護保険がとりあえず見切り発車したこと」と「診療報酬改定で入院料が包括化され‘入院基本料’が誕生したこと」以外は,「医療法の第4次改正案」は仕切り直しで今後の国会審議にゆだねられているし,「薬価制度改革」は白紙撤同されたままであるし,「高齢者医療制度の創設」も,これから本格的議論が始まるところである.
21世紀におけるわが国の社会保障制度や医療保険制度は,国民すべての最大の願望である「健康で長生きしたい」という思いにどう応えるか,「老後の健康と生活が充実したものとなる社会保障制度の構築」が急がれているのである.
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