特集 「社会の声」を聞く
「社会の声」と医療人の提言
出来高払いの矛盾—薬品公害の真因を考える
大島 民郎
1
1大阪住友病院
pp.31-32
発行日 1976年12月1日
Published Date 1976/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206087
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某月某日,薬局のそばの柱にもたれて一人の老女が泣いていた.どこか腹でも痛いのかと思い,近寄ってみると,
「まあ聞いて下さい.ここの先生は不親切ですよ.私がどんなに頼んでも注射をしてくれないのです.それにおクスリもこんなに少ないし,他の病院に行っているお友だちはどんどん注射をしてもらっているし,それにおクスリもどっさりもらっている.それを考えるとホントにくやしくてくやしくて……」という始末,まさにあぜんとしたが,これが今の患者の一部に見られる「クスリ信仰」の典型的な一例である.
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