巻頭言
介護予防と介護の矛盾
大武 美保子
1,2
1千葉大学大学院工学研究科
2NPO法人ほのぼの研究所
pp.382-383
発行日 2015年6月15日
Published Date 2015/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5003200124
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認知症の祖母との会話に着想を得て,認知機能リハビリとして会話を支援する手法,共想法を,実践研究している。テーマに沿って写真を持ち寄り,時間を決めて交互に会話することで,聞く,話す,質問する,答える,をバランスよく行い,加齢による低下しやすい認知機能である,体験記憶,注意分割,実行機能を活用する。認知症の発症を防ぐ一次予防,早期発見し進行を遅らせる二次予防,症状の緩和を目指す三次予防,それぞれの段階への効果的な適用方法を,実施を通じて検討している。介護予防と介護,2つの現場を見渡して,大きな矛盾を感じる。考えてみると当たり前のことであるが,この矛盾について述べたい。
介護の段階で行われていることを,もしも介護予防の段階で行っていたならば,そもそも,要介護状態にならなかったのではないか,もしくは,なることを遅らせることができたのではないかと,実感する。例えば,以下のような工夫である。
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