これからの医療と医療制度・8
出来高払いと定額払い
寺崎 仁
1
1日本大学医学部医療管理学
pp.1808-1809
発行日 1994年8月10日
Published Date 1994/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402902926
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患者の診療に要した費用は,診療報酬として各医療機関に支払われるが,この支払い方式には大きく分けて「出来高払い」と「定額払い」とがある.日本では,基本的には「出来高払い」による方法を採用しているが,老人医療などにおいては「定額払い」に類した方式もかなり導入されている.これらの支払い方式にはそれぞれ利点や欠点などがあり,医業経営に及ぼす影響も極めて大きく,さらには医師の診療行動パターンそのものを左右する要因ともなる.
まず「出来高払い方式」であるが,国民皆保険が導入される以前の昭和17年から,わが国では診療報酬の支払い方法としてこれを採用してきた.その概要は,「レセプト」の点検作業を経験すれば分かると思うが,検査や投薬などの個々の診療行為には,事前に点数(価格)が設定されており,患者に提供した医療行為すべての点数を総計して診療報酬を請求する方式である.もちろん,保険医療として認められていない医療行為は請求できず,また病名と診療内容との整合性に疑問があるものなどは,減額されたり「レセプト」を戻されてしまうことはある.しかし,大部分の患者については,請求どおりの金額が医療機関に支払われている.現在,診療報酬点数の1点は10円とされているから,請求した点数の10倍の金額が報酬として支払われる.
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