特集 過疎地域の医療
過疎地医療の試み
豪雪地域の医療—新潟・津川病院の遠隔診療
鈴木 寛
1,2
1新潟県立津川病院
2津川保健所
pp.21-25
発行日 1976年3月1日
Published Date 1976/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541205840
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現在のわが国は各種医療保険制度の整備や,公費負担制度の拡大により経済面では医療が受けやすくなり,他面公衆衛生の向上や医学の進歩により,死亡は激減し戦後短期間に世界第2位の長寿国になった.この意味では現在の医療保険制度や医療は高く評価されるべきであろう.しかし現実には「いつでも,どこでも」十分納得のいく医療を受けたいと思う国民の基本的権利や素朴な願いは守られず,医療や医師に対する不満は日ごとに増大しているの感がある.
医療需要は年々増大しているに反して,医療の供給は過疎地では経営や生活に対する不安から医師の定着が難しく,最低の医療すら受け難い地域が全国的に増大している.都市部でも医師や医療従事者の意識の変化による労働時間の制限により,休日,夜間診療はもちろん救急医療は完全には実施されず,ますます国民の医療不信を招いている.
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