特集 過疎地域の医療
過疎地医療の試み
離島の医療対策—国立長崎中央病院
川嶋 望
1
1国立長崎中央病院,外科
pp.26-30
発行日 1976年3月1日
Published Date 1976/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541205841
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長崎県には東支那海に面した五島列島や朝鮮海峡に接した対馬を含め,東西213km,南北307kmの広い海域に大小570余の離島が散在し,うち84の島々に県人口の20%に相当する約30万の住民が生活している.島の地勢や規模がさまざまであることは表1にも示したごとくであり,面積の大きい本島を中心に数島ないし十数の島が散在して離島群を形成している.したがって医師の絶対数不足に地勢や海域を合わせて考えると医師分布は極めて少なく,離島群における医療過疎の現況が想像されよう.
離島の医療対策といえば,一般には点在する小離島を対象に医師や保健婦が巡回船で診療することが想像されようが,長崎県が難渋している離島の医療問題は,離島住民の健康管理をいかにするかということと共に,離島群の中でも中心となる本島に医師を定着させ,専門科を含めた総合医療が離島群の中で行えるようにすることである.
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