特集 変化の時代の病院
変化の時代に病院はどう対処すべきか
関連法律改正が急務
菊地 真一郎
1
1菊地病院
pp.36-37
発行日 1970年1月1日
Published Date 1970/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541203845
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はじめに
日本における医療関係の基本法ならびに関連法規の中で,特に主柱と見るべきものだけでも昭和38年調査で55本.その関係監督官庁としては,厚生省(50課),大蔵省(2課),労働省(4課),文部省(3課),運輸省郵政省,自治省,人事院,防衛庁,科学技術庁は各1課ずつ,合計11省庁で55課にわたっている.おそらくは世界一の複雑さであろう,昭和44年末現在の法規数は,さらにさらに上回ったものと想像するが,かくのごとく細目の網の中にしばられた医療の実情は,全く動きがとれない.病院もその網の中で各種の攻勢にあえいでいる.曰く設備・労務・看護診療・経理などの重圧が,日とともにその質量を増大し,今や国・公・私病院はその現状維持すら困難となっている.
日本は自由国家群の中で第2位の経済力と政府は自慢するが,医療面,特に病院についてははたして第何位といえるだろうか.医学医術そのものは,少なくとも世界レベルに達したと見ても誤りではあるまい.しかし,その内容を深く吟味するときは,寒々しさにおののく者,ひとり私だけではないはず.強制国民皆保険制度を実施して既に10年め,その悪平等と低医療費政策の犠牲は,医師をも含めた国民全体の上にのしかかっている.
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