特集 人に死を招く動物—人・昆虫・寄生虫
介護殺人予防策の法制化が急務
結城 康博
1
1淑徳大学総合福祉学部社会福祉学科
pp.109-113
発行日 2017年2月15日
Published Date 2017/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208605
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昨今,誰もが「介護殺人」という悲劇的な事件を,マスコミ報道を通して知ることとなった.毎日新聞が,介護している自分の家族を殺害した「介護殺人事件」44件を調査したところ,半数近い20件で加害者が昼夜を問わない過酷な介護生活を強いられていたそうだ1).加害者となった家族介護者は熱心に介護を続けてきたが,心身ともに疲れ果て「殺人」という行為に陥ってしまう.言うまでもないが,理由はともあれ「殺人」という行為は許されるべきではない.
しかし,事件後の検証で,何らかの援助がなされていれば「防止」できたのではないかと評されることも多い.事前に介護サービスや被害者である高齢者が介護施設に入所していれば,「殺人」は防止できたかもしれない.いわば,一般的に「殺人」を予防することは難しいといわれる.しかし,早急な法制化によって「介護殺人予防」施策を保健制度として明確に位置づけ,「殺人」の一部である「介護殺人」を予防できるのではないだろうか.
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